こんにちは、ロッソです。
車を運転中、「この電柱、邪魔だなぁ~」と感じたことがあるのは、わたしだけではないはず。
きっと、ほとんどの方が一度は考えたことがあるでしょうね。
特にギブリのような車幅の大きい車を運転していると、余計、電柱が気になります。
海外に行かれる方はご存知だと思いますが、日本ほど電柱の多い国も珍しいのではないでしょうか?
そこで今回は、「無電柱化」について、少し考えてみたいと思います。
目次
日本の無電柱化率は、世界で見ると「飛びぬけて」低い
最近では、東京を中心に無電柱化の工事が進んでいるようですが、それでも世界的に見ると、かなり遅れているようです。
古いデータですが、国土交通省が2004年時点で調べたところによると、ロンドンやパリ、香港、シンガポールなどでは、無電柱化率が100%だそうです。
これらの国々、観光客の数も多いですから、風景などの面においても配慮している結果かもしれません。
では、同じく日本の観光地として有名な「京都」に目を向けると、2017年時点での京都市の無電柱化率は2%を切っています。
四条通や烏丸通などの大通りは整備されていますが、花見小路や先斗町などの観光スポットは、いまだに未整備。
せっかく増えた観光客も、ガッカリしてしまうかもしれませんね。
実際に京都市内を運転してみるとわかりますが、細い路地に入ると、電柱で擦りそうになる事もしばしば。
しかし、京都市だけが低いわけでもありません。現在、日本で無電柱化率が一番進んでいる自治体は東京23区ですが、それでも7~8%程度だそうです。
日本における対策は?
現在、日本国内において無電柱化率が一番進んでいる地域は、兵庫県芦屋市の「六麓荘」です。
六麓荘といえば、高級住宅街としても有名ですが、この街は、開発当初の数十年前から無電柱化を進めていたそうですから、かなり先進的といえますね。
この流れもあるのでしょうか、現在芦屋市では「芦屋市無電柱化推進条例」を制定し、市全体で無電柱化を進めているようです。
電柱があると無いでは、土地の価格も変わるそうですから、そういった意味では、お金持ちが多く住む地域ならではの意識の高さなのかもしれません。
では、東京の高級住宅街と言えば「田園調布」「成城」「松濤」あたりが有名ですね。
この地域も六麓荘と同じように無電柱化率が高いかと言うと、必ずしもそうではないようです。しかし、今後は同じような流れになるかもしれませんね。
2016年に「無電柱化の推進に関する法律」が制定され、一部の道路では新しく電柱を設置できないなど、少しづつ機運は高まっているようですが、現在のところ積極的に進めているのは「東京都」「大阪府」「宮崎県」「横浜市」「つくば市」「芦屋市」くらいのようです。
予算の関係もあると思いますが、東京などはオリンピック前に頑張りたいところでしょう。
無電柱化のメリット・デメリット
無電柱化にすることのメリットは多いと思います。
ここで、無電柱化におけるメリットとデメリットについて考えてみます。
無電柱化のメリット
災害に強い
日本は地震などの災害が多い国です。地震などが起きると、真っ先にインフラにダメージが生じます。
皆さんは、大地震発生後の地域に行ったことがあるでしょうか?
テレビの映像で見るよりも凄まじく、ほとんどの電柱が倒れています。
また昨年(2018年)の関西の台風では、実に約1,300本の電柱が折れたり傾いたりしたそうです。
地下に電線があれば、強風の被害は全くありませんし、地震においても被害が最小限に収まります。
実際、阪神・淡路大震災において、通信網の被害は地中線の場合、架空線に比べ80分の1に収まったそうです。
これだけでも、かなりの価値がありますよね。
景観が良くなる
個人的な話で申し訳ありませんが、わたし、富士山が大好きなんです。
だからどうした?って話ですよね(笑)。
いつも富士山を見ていて思うのですが、「電線、邪魔だなぁ~」と。
これを感じているのは、わたしだけじゃないと思います。
横山大観の絵の中に、電柱が描かれたら買いませんよね?(笑)
まぁとにかく、日本は資源の無い国ですから、せめて風景くらい美しくしたらどうかと。
交通事故が減る
電柱が無くなれば、間違いなく交通事故は減るでしょう。
皆さんも、朝の通勤時などに「ヒヤッ」としたことありませんか?
特に、子供さんの登下校時には、大きな妨げになっていますよね。
それだけ考えても、無電柱化にするメリットは大きいと思います。
また、電柱に追突する事故では、死亡に至る確率が10倍になるそうです。
交通事故の発生を抑えるには、かなり効果的だといえます。
無電柱化のデメリット
では次にデメリットについて。
むしろデメリットといえるのは、施工費が高いことくらいでしょう。
本当かどうかわかりませんが、電柱の設置に比べ、無電柱化にした場合の施工費は約10倍だそうです。
確かにこれでは、自治体も尻込みしますよね。
またもう一つ挙げるとすれば、「所有権の問題」でしょうか。
ここで、道路上にある電柱、あれ、誰の持ち物かご存知ですか?
「えっ?電柱って言うくらいだから、電力会社かな?」
なんて思いますよね。確かにそれも正解ですが、日本で一番電柱を所有しているのは、「NTT」なのです。
現在、日本国内には約3500万本の電柱があるそうですが、実に「NTT東日本」「NTT西日本」の2社だけで、全体の3割以上をカバーしています。
ケーブルテレビなどは、このNTTの電柱を「お借り」している訳ですね。
そう考えると、権利関係や交渉関係が複雑になるので、結局「面倒だな」ということにもなるのでしょう。
日本の無電柱化が進まない一番の理由は、この辺が大きいかもしれませんね。
まとめ
以前、新聞記事を読んでいたら、この無電柱化の事が書かれていて、とある人が「無電柱化を推進するためには、国民の方がもっと声を上げてほしい」なんて事を言っていました。
うーん、わからなくはありませんがね。なんかちょっと・・・、と言った感じ。
結局、費用が一番の問題のようですから、例えば、「その事業に寄付すれば、税金を控除しますよ」なんて話になれば、多少は変わると思うのですが。
まぁ、日本は税金が足りないので、難しい話かもしれません。
しかし芦屋市ではそういった取り組みをしているようなので、あながち的外れでもないかと。
大切なお子さんやお孫さんの事を考えれば、電柱、減らした方がいいですよね~。