こんにちは、ロッソです。
先日、LVMH(ヴィトングループ)がティファニーを買収した報道が流れていましたね。
高級ファッションで有名なヴィトングループですが、一体、どれだけ大きくなるんでしょう。
こちらの会長である「ベルナール・アルノーさん」ですが、フォーブスの長者ランキングで世界3位までになっているそうです。
マスコミはこの方を「カシミアを着たオオカミ」なんて揶揄しますが、わたし、個人的にアルノーさんって凄い人だなと思っています。
ただ単純に買い漁るだけではなく、しっかりとブランド同士でコラボレーションしながら展開してますから、巨大企業になるのも頷けます。
この方の逸話に、ニューヨークでタクシードライバーに「フランスと聞いて何を思う?」と質問したところ、「クリスチャン・ディオールなら知ってるよ」との答えがあったため、これを機にディオールを買収したそうですから、「ブランドとは何たるか」をよく熟知した人だと思います。
ファッション業界だけでなく、自動車業界もこの「ブランド力」というのは重要ですから、今回は「ブランド力は何で決まるのか?」なんて事について考えてみようかと。
目次
「ミスター・アルノー」は、ただのオオカミじゃない
まずは、アルノーさんについてもう少しだけ触れてみたいと思います。
「世界第3位の富豪」なんて聞くと、雲の上の存在のように思いますよね。
中には「運が良かっただけだよ」なんて考える人もいるようですが、この方、ただのオオカミじゃございません(笑)。
LVMHの本社はフランスにありますので、フランスから指示を出しているだけと思うかもしれませんが、この方はしょっちゅう世界各国を飛び回っているのです。
有名なのが「アルノー大名行列」。
これ、わたしが付けた名称です(笑)。
以前、とある百貨店に行ったところ、スーツを着た海外の方の一団が、まぁゾロゾロと歩いていました。
これを見たわたし、「何だろう?」と不思議に思い、スタッフの方に「あれ、何ですか?」と尋ねる事に。
するとそのスタッフさん「あぁ、あれはベルナール・アルノー会長の一行ですよ」と教えてくれました。
実はアルノーさん、定期的に日本を含め、世界各国の店舗を視察しているのだそうです。しかも結構頻繁にあるそうですから、マネージャークラスの方は心労が絶えないと(笑)。
わたし、アルノーさんを一目見たいと近づいてみたのですが、まぁ取り巻きの人数が半端じゃありませんでしたので、あえなく断念。
いや、本当に「大名行列」みたいでした(笑)。
「実際に現場に出て、現状を把握する」
これ、普通の経営者でも中々出来てませんよね。
そう考えると、ただのオオカミなんかじゃない事がお分かり頂けるんじゃないでしょうか。
ブランドが大切にしている事
もともとわたし、ヴィトンなどにはあまり興味がありませんでしたが、こういった事もあり、アルノーさんを含めたヴィトングループ全体に興味を持つようになりました。
で、ある時、「ヴィトンは昔から有名だけど、アルノーさんが買収してからかなり大きくなった。一体、何を重視、つまり何を大切にしたらここまで人気が出るんだろう?」なんて事を考えました。
そこで、店舗内や購入者などをジーッと見ていると、ある行動が見えてきたのです。
それが、「シンボルを大切にする」という事。
要は、「一目でそのブランドだと分かるもの」をとにかく大切にしているという事です。
ヴィトンであれば「LVマーク」ですし、今回買収されたティファニーであれば「ティファニーブルー」と呼ばれる、あの独特のカラーでしょうね。
各ブランド共、このシンボルをとても大切にし、何処の国でも商標権を取得して権利保護を徹底しています。
顧客はバッグを買っている訳ではない
もちろん、品質やデザインへのこだわりも徹底しているとは思いますよ。でも、何よりも大切にしているのは「ブランドシンボル」じゃないかと。
なぜそう思ったかというと、顧客の行動を見ていると、ヴィトンマークが付いていない商品より、でかでかと「LV」と表示されている商品の方が人気があるなと。
そこでわたしこう思ったのです。
「あぁ、バッグを買ってるんじゃなくで、LVマークを買ってるんだな」と。
飛躍し過ぎでしょうか?でも、あながち的外れでもないと思いますよ。
何なら周りの女性に尋ねてみて下さい。例えばシャネルのバッグを指さして「ねぇ、このバッグ、もしシャネルマークが付いていなかったら、同じ金額出して購入する?」と。
すると、かなりの高い確率で「絶対買わない」という答えが返ってくると思います(笑)。
このようにブランド戦略とは、如何にして「一目でそのブランドと分かるか」というのが重要になるという事ではないでしょうか。
ブランド価値を守るために、裁判もいとわない
で、そういったブランドシンボルは商売の要となるものですから、それを侵害されれば、どこのブランドも裁判をいといません。
ヴィトングループはその辺、かなり徹底していますよね。
これはヴィトングループに限らず、どこの企業でも行っています。
例えば日本で言うと「〇菱」なんかは有名かと。
数年前、この〇菱グループは、全国にある〇菱と名の付く会社を徹底的に攻撃しました。中小企業であろうと容赦しません。
要は、「ウチの名前を使うな。名称変更せよ」と。
勢いに乗った〇菱、最終的に「〇菱鉛筆」まで訴えましたが(〇菱鉛筆は〇菱グループではありません)、裁判で負けてしまうという・・・。
まぁ、〇菱鉛筆の知名度って、もともと高いですから裁判官もそこは考慮したのかと。
また、海外勢で言うと「フランク・〇ュラー」なんかも色々ありましたね。
大阪の会社が「フランク・ミウラ」なんて時計を売り出して、それが商標権を侵害しているという。
わたしは個人的に、嫌いじゃないなと(笑)。
で、その裁判、どうなったかというと、裁判長が「フランク・〇ュラーと、フランク・ミウラ?間違えようがないでしょ?」と、あえなく却下。
うーん、そりゃそうですよね(笑)。
シンボルってどんなもの?
では、各ブランド共、どのようなシンボルを重視しているのでしょうか?
まずヴィトンやシャネルであれば、「ブランドマーク」ですよね。
次に、ティファニーであれば「ブランドカラー(色)」、小林製薬なら「商品名」でしょう。
ここで、「なぜ、小林製薬?」と考える人もいるでしょうね。
でもちょっと考えてみて下さい。「サワデー」と聞いたら「さわやかサワデー」と思い出しませんか?
他にも「ノドヌール」とか、「ブルーレットおくだけ」など、小林製薬はネーミングに命を懸けているような(笑)。
まぁでも冗談じゃなく、「商品名」というのはかなりインパクトがあると思います。
例えば、シャネルの「5番(No.5)」と聞けば、海外の女性ならほとんど知っていますし(年齢は少し上ですが)、またティファニーの「オープンハート」と聞けば、若い方でもご存知だと思います。
「ブランド名は知らなくても、商品名は知っている」という事も多いですから、ブランド戦略に「記憶に残る商品名」は不可欠だと言えるでしょうね。
自動車ブランドはどうか?
では上記の、「ブランドマーク」「ブランドカラー」「商品名」ですが、これを上手に利用している自動車メーカーについても考えてみます。
やはり自動車ブランドで一番の巧者は「フェラーリ」でしょうね。
「ブランドマーク」は「跳ね馬」と聞けばすぐ分かりますし、「ブランドカラー」はやはり「赤」でしょう。
「商品名」であれば「デイトナ」「イタリア」「カリフォルニア」などなど、パッと聞けば「あぁフェラーリだな」となります。
本当にフェラーリは、ブランドの作り方を熟知していますよね。
では日本車はというと、トヨタであれば「ブランドマーク」はと聞かれれば「・・・うーん?」となりますし、「ブランドカラー」は「・・・?」となるでしょう。
まぁ、レクサスはその辺、頑張っているとは思いますが。
では、我らがマセラティとなると・・・、さらに頼りないというか・・・。
「ブランドマーク」であれば、「あの、ヤリみたいなやつ?」となるでしょうし(モリですが(笑))、「ブランドカラー」となると、更に難しいところです。
お節介かもしれませんが、自動車メーカーの皆さん、「ブランドマーク」「ブランドカラー」「商品名」に関して、もっと検討してみては如何でしょうか?
まとめ
これ以外にもブランド力を決定する要素は幾つもあるでしょうが、大方「マーク」「カラー」「商品名」さえ研究すれば、自然と消費者の認知度って高まるんじゃないかと。
その分、付加価値が上がるので、値上げもスムーズに出来ますよね。
しかし、ここ数年のヴィトングループは、値上げのペースが早いような・・・。
うーん、この辺が「カシミアを着たオオカミ」と呼ばれるゆえんなんでしょうか(笑)。