アメリカの相続事情

税金

こんにちは、ロッソです。

今回は、お金持ちの「母娘ゲンカ」を見て思うの記事で登場した、アメリカ人女性のナンシー(仮名)とのお話を。

前回の記事では、日本のお金持ち母娘が、とあるホテルのティーラウンジで、かなり派手なバトルを繰り広げていました。

その場に居たわたしとナンシーは、ただただ唖然とするばかり(笑)。

良かったら、そちらの記事もご覧になってみて下さい。

さて、その母娘が去った後、ナンシーは「アメリカと日本では、相続の感覚が違うのね」と。

そこで今回は、ナンシーに教えてもらった「アメリカの相続事情」についてお伝えしようと思います。

目次

アメリカと日本では、考え方が「真逆」

まずは、基本的な考え方から。

日本において相続とは、「亡くなった人の財産」「残った遺族」が分け合い、それに対して相続税を払う仕組みですよね。

 

しかしアメリカは全くの逆。

 

アメリカでは、「亡くなった人の財産」に対して相続税を支払い、その払い終わった残りの財産を「遺族など」が分け合うというものです。

厳密に言うと、相続税ではなく「遺産税」というニュアンス。

ですから、実質的には「亡くなった人が相続税を支払う」という、何だかおかしな現象になるわけですね。

 

これは、「贈与税」についても同じ。

 

日本では「貰った人」が税金を払います。

しかし、アメリカでは「あげた人」が税金を払います。

全くの真逆です。

ここからも、日本とアメリカでは、税金に対する捉え方が大きく違うということがよくわかります。

アメリカの税率は一律ではない

また、アメリカでは税率も統一されていません。

 

アメリカの日本での正式名称は「アメリカ合衆国」となります。

英語表記では「United States of America」ですから、多くの州が集まった国ということになります。

「州」というのは、「くに」とも読めますね。ですから、「小さな州(くに)の集合体」という事でしょう。

アメリカのそれぞれの州には自治権があり、州法や州税もあります。ということは、州によって税率も変わってくるという事です。

厳密に言うと、どこの州に住んでいてもかかる「連邦税」というのがあり、州ごとにかかる「州税」がプラスされるというイメージです。

 

ですから、税率は統一されていないと。

 

しかし日本では、北海道だろうが沖縄だろうが、税率は一緒ですから、ここでも国の違いを感じます。

基礎控除の額が桁違い

たまに「アメリカにも相続税はある。日本だけじゃない」なんて言う人がいます。

確かに、アメリカの相続税の連邦税率は40%と、先進諸国でも高いと言えるでしょう。また、先ほどの話のように、ここに更に州税がかかることになります(無い州もあります)。

日本は「累進課税制度」で、相続額が大きくなればなるほど税率も高くなります。

しかし、アメリカの相続による連邦税率は、「一律40%」と、まぁ厳しと言えば厳しいですよね。

 

ただ、「基礎控除額」が全く違います。

 

基礎控除とは、簡単に言うと「財産の額から一定の金額は差し引きますよ。その残りの額に対して税金をかけます」というものですね。

現在の日本の基礎控除額は、「3,000万円」プラス「相続人の人数×600万円」です。

ですから、お父さんが亡くなって、お母さんと二人の子供がいれば「3,000万円+(3人×600万円)」ですから、4,800万円までは税金がかからないということになります。

 

しかし、アメリカは桁が違う。

 

この基礎控除額が、相続人の人数に関係なく、1,118万ドル(2018年度)となっています。

1,118万円じゃありませんよ?1,118万ドルです。

仮に、1ドル=110円とすれば、約12億3千万円です。

日本とは桁違いですね。

ただ、ナンシーに言わせれば「政権ごとに税率が変わる」そうですので、正直言って「実感がない」そうです。

また、もっと言うと、アメリカにおいての相続対策は、「信託」の歴史が長いため、更に実感がわかないようです。

アメリカの信託とは?

日本で「信託」と聞けば、多くの人が「投資信託」を想像するのではないでしょうか?

「まぁ、株式投資よりは、比較的安全な投資?」みたいな。

 

いや、少なくともわたしは(笑)。

 

しかし、アメリカでの「信託」は、日本のものと感覚的に違うようです。

まあ、英語の意味で考えても、少しニュアンスは違うかもしれませんね。

英語で「信託」は、「トラスト」といいます。

よく、アメリカ映画などで「トラスト ミー!」なんてセリフを聞いた事ありませんか?

あれを字幕では「私を信じて!」などと訳されていますが、厳密にはちょっと違うような・・・。

そもそも普段の会話で「トラスト ミー」なんて言いませんし。

これを直訳するなら、「私に委ねて」とか「私に託して」といったところ。

信じるだけなら簡単ですが、委ねるとなると・・・。

 

ちょっと、重たいですよね(笑)。

 

これと同じく、日本とアメリカの「信託」への考え方も大きく違うようです。

特に、相続対策に使われることが多く、多くのアメリカ国民にとっては、当たり前の制度のようです。

このアメリカの信託制度は、遺言の代わりのような捉え方も出来るようですが、ナンシーに言わせれば「遺言より内容が細かいし、自由度が高い」と。

イメージとしては、財産を残す側と、それを受け取る側との「契約」みたいなものでしょうか。

例えば「○○歳になるまで、お金は受け取れない」とかいった内容のようです。

アメリカは契約の文化ですからね。当たり前と言ったら、当たり前なのかもしれません。

 

また、信託を使って財産を得る相手は、子供だけとは限らないようです。

ナンシーは、「特に、寄付が多いわよ」と。

アメリカでは寄付文化が根付いていますから、この話も納得できますね。

税制面での優遇措置もあるようですので、「自分の築いた資産、どうせ税金で持っていかれるなら、自分の好きなところに寄付したい」という思惑とも合致するのかもしれません。

逆に政府としても、全ての事業を税金で賄うのではなく、寄付と言う形でお金が循環すれば良いという考え方なのかもしれません。

アメリカ人は合理的ですね。

まとめ

如何でしたでしょうか?

『寄付文化』などと聞くと、「いやー、アメリカ人は立派だな」なんて思ってしまいます。

しかし・・・、「節税」という側面が強いのも事実だそうです。

 

あまり詳しく書くのもどうかと思うので、今回はこの辺で。

 

ここで、「ナンシーも、ご両親との間で信託契約しているの?」と聞くと、「うーん、最低限は」と。

「最低限?」と、思ってしまいますよね?そこで「どういう意味?」と聞いてみました。

すると、

「詳しく説明すると長くなるんだけど、手続き関係で信託があると楽なのよ。ただ、ほとんど資産は貰わないわ。だってなんだか『お墓の中から、コントロールされている』みたいで嫌なんだもの」

まぁ、確かに納得です(笑)。