こんにちは、ロッソです。
いざという時のための自動車保険(任意保険)ですが、もらい事故などの場合、こちら側の保険会社が対応できず、自分自身で相手側の保険会社と直接交渉しなくてはいけません。
これ、意外と知られていないんですよね。
要は、過失割合が「10:0」で、こちら側が過失0という「完全被害者」であると、相手側の保険会社と事故の補償などについて、「直接」話し合わなくてはいけないという事です。
わたしも一度、もらい事故で相手側の保険会社とやり取りした事がありますが、まぁ何と言いますか・・・、ゴリゴリに値切ってきますから、慣れていない人は苦痛に感じるかもしれませんね。
いや、わたしは一歩も引きませんでしたが(笑)。
わたしの話はかなり昔の事ですから、あまり皆さんの参考にはならないと思いますが、少し前にわたしの知人が、こうした「保険会社との交渉」を経験しているので、今回はその時の内容をお伝えしようかと思います。
まぁ、あまり経験することではないと思いますし、それぞれパターンが異なると思いますので参考程度にして頂ければ。
目次
過失割合10:0って、ありえるの?
まずは、過失割合10:0って本当にありえるのか?という事についてから。
稀に「基本的に、過失割合10:0ってほとんど無いよ」なんて事を言う人がいますが、現実的にはちゃんとあります。
例えば、こちら側が青信号で交差点に進入し、相手側が赤信号で進入して接触した場合や、相手側がセンターラインを越えてきて、正面衝突した場合などは10:0となる事が多いです。
ここで、なぜあえて「多いです」と表現したかと言うと、示談交渉の場合、この過失割合というのは、相手側の保険会社が提示してくるものだからなんですね。
これ、大事ですからちゃんと覚えておきましょうね。
あくまで過失割合というのは、警察などの第三者が決めるものではなく、当事者同士の「合意」で決まるものなんです。
つまり、相手側保険会社が「10:0」でと提示してきて、こちら側が「はい、わかりました」と伝えることで決まるという訳です。
という事は、仮に「8:2」で提示してきたとして、こちらが「いやいや、それはおかしいよ」となれば、その時点で過失割合は決まらないという事です。
ちなみに今回は、「過失割合10:0」についてお話ししていますが、明らかに10:0でない場合、こちら側の保険会社と相手側の保険会社とで交渉が始まります。
ですから例えば、自分としてはどう考えても「8:2」程度だろうと考えていても、保険会社が「6:4」になりましたなんて言えば、「ちょっと待って、それはおかしい」と言うべきでしょうね。
そこで「うん」なんて言ってしまえば、それで合意が成立しますから、ここはちょっと慎重になった方が良いでしょう(まぁ、この辺について書き出すと長くなるので)。
わたしの知人の場合、「当て逃げ」でしたから、完全に「10:0」で話が進みました。
当て逃げは「準備」「根気」「運」が必要
ここで当て逃げについて詳しい人なら「えっ?当て逃げでよく相手を見つけられたね」なんて言うかもしれませんね。
そうなんです。当て逃げで相手側を見つけることはおろか、交渉のテーブルに乗せることって難しんですよね。
だって、「逃げてる」んだから(笑)。
ですから知人も当初は「もう、半分諦めてたよ」なんて言っていました。
知人曰く「当て逃げを見つけるには、準備と根気と運が必要だね」とのこと。
準備としては、ドライブレコーダーを取り付けており、これがある程度役に立ったそうです。根気については、とにかく相手が見つかるまで、辛抱強く色んな所にお願いに行ったんだとか。
ちなみに、知人の場合、とあるショッピングセンターの駐車場で事故があったため、「それなら、その駐車場管理者に防犯カメラを確認してもらえば?」と単純に思いますよね。
しかし、その管理者は「警察の要請がない限り『絶対に』お出しする事はできません」と突っぱねられたそうです。
いや、「絶対に」ってね(笑)。
まぁ、これも覚えていた方が良いと思いますが、近くに防犯カメラがあったとしても、簡単にそれを確認させてもらえないというのが現実なんですね。
じゃあ、「警察にお願いすればいいじゃん」という話になりますが、警察ってなかなか動いてくれないんですよ。
これ以上言うと、個人情報の問題がありますのでこれくらいにしておきますが、最終的にはやっぱり「運」が一番だったそうです。
ですから皆さんも、「あぁ、当て逃げって見つからないよね」とすぐに諦めず、準備をして、根気よく、運を信じて頑張ってみる価値はあるでしょう。
損保会社は「値切ってくるのが前提」と覚えておく
こうした事もあって、ようやく交渉のテーブルについた知人ですが、相手側の保険会社は、まぁ最初からゴリゴリに値切ってきたそうです。
これ、ちょっと考えれば分かる事ですが、損保会社は営利会社ですから、値切ってくるのは当たり前なんですね。
また、損保会社にとって、自動車保険はドル箱なんですよね。そりゃ余計に無駄なお金は払いたくないと考えるでしょう。
損保会社の取り扱う商品は様々ありますが、その中で一番売り上げているのが自動車保険です。
損保会社からしたら、契約者が事故をしなければしないほど利益が出る訳ですから、そこは徹底しているんですね。
もちろんあなたが性善説で「まぁ、お互い様だし」なんて考えるなら、相手の言うとおりにしたら良いと思いますが、それで車や自分の身体が元通りにならないとなればどうなんでしょう?
わたしも大抵の事は、「まぁ、お互い様だし」なんて流すことが多いですよ。でもね、保険会社が相手となれば話は別(笑)。
最初から、「あぁ、こいつら色んな理由をつけて、自分たちに都合のいいように持っていこうとするな」と考えて対応します。
いや、損保会社に恨みがある訳じゃないんですよ(笑)。
ただ、「そういった前提で考えておいた方が良いですよ」というだけのお話です。
保険会社の代理交渉って、実はグレーゾーン
ここで、ちょっと話は脱線しますが、実は保険会社の代理交渉って、法的にグレーゾーンなんですよね。
何故なら、弁護士法に完全に違反しているからです。
弁護士法第72条に、「非弁護士の法律事務の取り扱い等の禁止」というものがあります。簡単に言えば、「弁護士じゃない人が、報酬を得る目的で、法律行為の仲介とか代理をしちゃいけませんよ」なんて内容です。
じゃあ、何で出来てるの?ってお話なんですが、これは弁護士会と保険協会が「一定の範囲内なら、保険会社が代理をしても良いですよ」と覚書を交わしているからなんですね。
うん、すっごいグレーでしょ(笑)。
まぁ、色んな建前を並べて「保険会社が代理交渉を行う利点がある」なんて言っていますが、弁護士会としても、保険会社は良いお客さんですから、「共存共栄で」なんて考えが透けて見えますよね。
弁護士側からすれば、最近は「弁護士特約」なんて保険がありますから、営業しなくても損保会社にくっついていれば安泰ですし、その他、契約書の作成なんて仕事ももらえます。
昔、知り合いの弁護士に聞いたことがありますが、保険などの契約するときに、契約書の裏側に小さい文字がびっしりと書かれていますよね。あれ、保険会社や銀行などが弁護士事務所に依頼するんですよね(今はどうか知りませんが)。
ボリュームにもよりますが、一回数千万の報酬になる事もあるようで。
そんなお客さんの頼みなら・・・ねぇ?(笑)
ちなみに、この交渉代理については、保険会社の正職員でないとできない決まりとなっています。一応建前としては、「ちゃんとした社内教育を行い、そうした事務に長けた職員をあたらせる」という訳で。
しかし、わたしが対応してもらった時は、新入社員みたいな人だったような・・・。
いや、何度も言いますが、別に損保会社に対して恨みがある訳じゃありませんからね(笑)。
という事は、保険代理店の人間では代理交渉が出来ないという事になりますから、ここは注意して下さいね。
正当な内容であれば、しっかりと主張すべき
それでは実際に、わたしの知人と保険会社のやりとりを見ていきましょう。
ここで注意しておきたいことが、正当な内容であれば、しっかりと主張すべきだという事。
保険会社はまず間違いなく、自社にとって都合のいい内容を主張してきます。その内容が妥当であれば、何も文句を言う必要はありませんが、少しでもおかしいと感じたら、こちらの言い分をしっかりと主張しましょう。
ここでは、知人が「んっ?」と思った事を中心にお伝えしていきます。
修理工場は、こちら側の懇意にしている工場で
それではまず、修理工場に関してですが、これはこちら側の懇意にしている工場でお願いしたほうが良いでしょう。
実際のやりとりがこちら。




はい、きましたね(笑)。これ、私のときも言われましたが、絶対に断った方が良いです。
わたしの知人の車はマセラティではありませんが、それこそ高級輸入車で、部品なども簡単に手に入るような車ではありません。
修理に関する専門的な知識も必要ですから、ここは絶対に断って「わたしの懇意にしているディーラーにてお願いします」と伝えるべきでしょう。
保険会社は、事故の状況など分かっていない

で、わたしの知人もこれは怖いと思い、こう伝えたそうです。


今回の事故は、かすり傷程度ですから、簡単な塗装程度で済むと思うのですが。


うん、おかしいよね(笑)。
素人目の判断を鵜呑みにしてるんだから、そのまま行ったら大変な事になりますよ。更に言うと、この加害者、一回逃げてるんでしょ?そんな人の言う事を真に受けちゃうんだ?と(笑)。
知人もさすがに呆れて、こう言ったそうです。


ちなみにお伝えしておきますが、案の定、知人の車は塗装だけで終わりませんでした。
最近の新しい車って、センサーとかいろいろついてますよね。そういったものがメチャクチャに壊れていたそうですから、結局、本国から部品を取り寄せることになったそうです。
これ、相手側(保険会社)の言いなりになっていたら、見過ごされていたかもしれません。
そう考えると、やはりちゃんと信頼のおける工場で修理をお願いしたほうが安心ですよね。
良いですか皆さん、保険会社なんてこの程度の認識で話を進めようとしますからね。事故の状況などサッパリ分かっていませんから、正当な要求ならしっかりとすべきだと言えます。
代車はとんでもなく低いグレードを提示してくる

これ以外にも色々あったようですが、あまり細かく書きすぎるのもなんですから、最後は代車について触れておきましょう。
知人の場合、修理に2週間以上かかったようですから、どうしても代車が必要となります。そこで保険会社はこう言ってきました。

いや、そもそもね、2週間も車が使えないって人によっては大変ですよ。ここまでケチってくるのかよと(笑)。


ここでも注意点がひとつ。
知人の車種についてはお伝え出来ませんが、保険会社が提示してきた車は、新車価格で言うと、知人の車の1/5程度の車です。
・・・いや、車の価格が問題じゃないんですよ。確かに、知人の車と全く同じ車を用意するのは難しいと思いますが、せめて同等程度の車を用意すべきじゃないのかと。
どちらも車種名を挙げると、不快な気持ちになる人もいるでしょうからあえて伏せておきますが、例えば、普段から4ドアの車に乗っているのに、2ドアとか3ドアの車を代車で・・・なんて言われたら色々困りますよね。
ここで、「それくらい我慢しろよ」なんて意見もあるかもしれませんね。確かにそういった考え方もひとつかもしれません。
しかし、何も「自分の車よりグレードをあげろ」などと言っている訳ではありませんし、そもそも相手側の不注意がなければ、誰も嫌な思いをせずに済んだはずです。
知人の場合、家族の人数の事もありましたし、諸々の事情から、最低限(高級車とは言わないまでも)同程度の大きさの車が必要だったんですね。
ここはかなり粘ったようですが、結局、知人の車と全く同じ車種を用意してくれたそうです。
・・・いや、出来るんじゃんと(笑)。
ちなみにお伝えしておきますが、保険会社というのは大抵、高級車や輸入車を専門に取り扱っているリース会社と契約していますから、ある程度の車種は用意できるはずなんですね。
ですから皆さんも、不当な要求はすべきではありませんが、ある程度真っ当な要求であれば、毅然と対応したほうが良いと言えるでしょう。
ややこしかったら弁護士に相談する

知人の場合もわたしの場合も、ある程度の法律知識があったため、相手側保険会社との交渉は、自分自身で行いました。
しかし、ここに入院費用や賠償請求などが絡んでくると、なかなかややこしくて、自分だけで解決するのは難しいかもしれませんね。
その場合はやはり、最初から弁護士に一任したほうが良いでしょう。
こうした交通事故案件を得意とする弁護士は多いですから、他の法律事務を依頼するよりも当たり外れは少ないと言えます。
まぁ逆に言えば、それほど高い知識を要求されないからだとも言えますが(笑)。
とは言え、弁護士は着手金やら成功報酬やら色んな費用が掛かりますので、普通に頼めば逆に赤字になるなんて事もあり得ます。
その場合、やはり自動車保険に附帯している「弁護士特約」を利用すれば、無料で示談交渉を依頼できるので便利ですよね(上限金額はありますが)。
転ばぬ先の杖ではありませんが、自動車保険に加入する場合は、弁護士特約を付けておいた方が良いでしょう。
まとめ
如何でしたでしょうか。
人生において交通事故は何度も経験することではありませんが、いざという時、ほとんどの人がどう行動したらいいのかと慌てるかと思います。
まずは一度深呼吸して、「あっ、そういえば、ロッソのブログに保険や事故の事書いていたな」なんて思い出してもらえれば、役に立つことがあるかもしれません。